日弁連:デンマークのフレキシキュリティ調査報告
1月14日、日弁連の主催で、デンマークの積極的労働市場政策に学ぶと題したイベントが開かれ、フレキュリキュリティと呼ばれる労働市場政策で近年注目を集めているデンマークの現地へ出向いた弁護士・研究者らの報告会が、東京・霞が関の弁護士会館で開かれた。フレキュシキュリティとは、柔軟な労働市場、手厚い失業保険制度、積極的労働市場政策(職業訓練の充実)の3要素で特徴づけられる労働市場のあり方で、2006年に行われた世界幸福度ランキングの調査で一位を占めたこともあるデンマークにおいて、そうした政策がどのように機能しているのかがメインテーマの会だった。他にイベントでは日本での職業訓練制度の最近の動向も、訓練生の声を交えながら紹介された。調査の詳細な報告書は近日中に日弁連のサイトに掲載されるとのこと。
細かな内容は報告書に譲るとして、基調報告をした根本到氏(大阪市立大学教授)の話の要点は…
●フレキシキュリティといえば、解雇規制の緩さが話題なり、解雇自由と誤解されがちだが、決して解雇自由ではない
●デンマークの労使関係(の協約)は、国の法律にかわる規制として機能している
●柔軟な労働市場は公的保障(手厚い失業保険や無料教育)が前提となっている
●近年は失業給付や就労支援の受給者は、求職への姿勢が求められ、努力がみえないとペナルティを課される
●就労支援は近年の改革で自治体の管轄になった。ただ資金面は国が負担しているため、支援の量的成果のみを追求し資金を得ようとするなど負の側面もある
またデンマークから示唆を得ようとする際、留意すべき点として…
●18~65歳の労働力人口は約280万人で、国の規模が違う
●2000年代の低失業率さは、改革の成果か、一時的な好況のおかげか、議論がある
●フレキシキュリティは金がかかると思っていたほうがよい
注:報告書によるとデンマークは労働市場政策にGNP比で4.5%を充てている。
●フレキシキュリティは労使関係の規制システムが全体を調整している
●金融恐慌後は失業率も上昇し、今のモデルが維持できるのか不明
・・・などといった点が指摘されていた。報告会では他の報告者からも出た話だが、デンマークの制度は、長い時間をかけて歴史的に形成されてきたシステムであり、制度を導入するのは簡単ではないと強調されていた。さらにパネルディスカッションでは、首都圏青年ユニオンの河添誠氏から、日本国内の改革の議論では、解雇規制の緩和の話にすぐいくんじゃなくて、職業能力をつける機会を分厚くする必要があるといった提言があった。
<感想>
フレキシキュリティの実効性には、労使間の個別の協約の果たしている役割が大きく、とりわけ労組の影響力が重要といった主張が報告会の通奏低音にあったような気がする。ただ弁護士会といえば、労働組合運動のようなかたちで声をあげた人々とつながりをもちがちだから、それを前提条件として聞く必要があると思った。
◇参考
日弁連 – デンマークの積極的労働市場政策に学ぶ~日弁連デンマーク調査報告




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